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平安時代、鮎河(相模川)、平塚・寒川間に浮橋があったかもしれません

承和2年(835)、鮎河(現相模川)に浮橋が架けられました(*1)。
鮎河(現相模川)のどこに浮橋が架けられたのか、その場所は特定されていません。
承和2年(835)は東海道が平塚・四之宮(国府)→寒川→浜田駅(海老名)と通っていた可能性が高く(*2)、現在の田端の辺りに浮橋が掛かっていたと思われます(*3)。
(下記地図は、「蝦蟇山舎だより」[→http://gamayama.news.coocan.jp/index.html]へ加筆させていただきました。)
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↑平安時代の寒川郷、鮎河(相模川)、浮橋の位置
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↑平塚・四之宮・前鳥(さきとり)神社--この辺りに大住国府があったと思われます。
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↑湘南銀河大橋
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↑相模川・前鳥神社・富士山:この辺りに浮橋があったと思われます。

救急院について

承和11年(844)、愛甲郡と高座郡に、福祉施設(救急院=布施屋)ができました(*4)。
布施屋の設置目的は、調・庸(税金)の運搬が困難な公民を助けるためでした。
そのため浮橋の近く、即ち寒川に救急院が設置されたのではないか、という説があります(*5)。
しかし、中山毎吉(つねきち)氏は救急院は外記河原(海老名)に設けられた、という説を取っています(*6)。
これに関連して、海老名市では、郷土かるた「そ」が作られ(*7)、観光ガイドが開催されています(*8)。
浮橋の近くに救急院を設けたのであれば、対岸は平塚なので大住郡になります。
しかし、救急院は愛甲郡内に設けられました(*4)。
従って、浮橋と救急院は別の場所に作られたと考えられます。

[出典]

*1:類聚三代格(平安中期成立)巻16 太政官符 承和2年(835)6月29日「応造浮橋布施屋并置渡船事」
一浮橋二処
駿河国富士河 相模国鮎河
右二河流水甚速、渡船多艱、往還人馬損没不少、仍造件橋、
(略)
一布施屋二処
右造立美濃尾張両国堺墨俣河左右辺

*2:神奈川の古代道 藤沢市教育委員会 博物館建設準備担当 1997

*3:寒川町史 6 通史編 原始・古代・中世・近世 平成10.11.1 p216
「田村辺りに浮橋を架けたのではないか」という説もあります。
・神奈川の東海道 上〔第2版〕: 時空(とき)を超えた道への旅, 第1巻
神奈川東海道ルネッサンス推進協議会 編集 p78
・海老名市史 6 通史編 原始・古代・中世 平成15.3.26 p342
いずれにせよ、平塚-寒川間で、湘南銀河大橋-神川橋間のどこかに浮橋があったものと思われます。

*4:類聚三代格(平安中期成立)巻12 正倉官舎事 官符 承和15年(848)3月21日
応附官舎帳救急院一区事 地三段 屋三宇 三間板葺屋一宇 草葺屋一宇 五間布施屋一宇 四面築垣 開田五十町〈見開廿町 未開卅町〉 已上愛甲高座二郡
右得前相模介従五位下橘朝臣永範解偁、去承和十一年以俸料稲一万束造立件院、開発空閑地納其地子稲班給運進調庸百姓之尤窮并貧不能自存者、自承和十一年至十四年総一千一百五十八人、因茲八箇郡司百姓等録民悦状毎年申官、非唯済公事、兼復救民急、脱不附官帳徒被棄置、望請、永載公帳以伝後代、但有破損之日割留地子之内以充修理料、謹請官裁者、右大臣宣、奉勅、依請、

*5:寒川町史 6 通史編 原始・古代・中世・近世 平成10.11.1 p217

*6:相模国分寺志 中山毎吉他 大正13 p215

*7:海老名市ホーム>管理用サブコンテンツ>海老名郷土かるた「そ」
https://www.city.ebina.kanagawa.jp/shisei/profile/tankyusha/karuta/1000859.html

*8:えびな史跡ガイド 会報 第18号 2016年1月1日発行 p4
救急院跡と相模国分寺跡を訪ねて
https://ebinaguide.sakura.ne.jp/kaihou.html
平安時代、鮎河(相模川)、平塚・寒川間に浮橋があったかもしれません_d0240916_17165534.jpg

[参考資料]
日本古代史 史料テキストデータ>法制史料テキスト
http://kodaishi-text-by-takuro.jimdo.com/%E6%B3%95%E5%88%B6%E5%8F%B2%E6%96%99/

[初投稿] 2016.12.2


by jyohokiti | 2022-05-01 16:38 | 観光案内

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